ちゃらんぽらんの日記

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保護すべきもの(2)

伝統工芸品が歩んできた歴史である面で不幸だったと思えるのは、江戸時代の鎖国政策である。16世紀から石見銀山の銀が欧州に流通し、また17世紀半ばには陶磁器なども盛んに輸出されました。自由な交易が行われていたなら、各藩の領主が競って海外向けの用途に見合った製品を開発し、欧州で使われる食器も茶器もペンや紙に至るまで、日本の伝統工芸品が欧州人の生活に草の根のように根付いただろうと想像できる。

結局は、本格的に海外に雄飛する機会はなく、戦後の高度成長に沿った発展をしてきたが、高度成長の終焉とその後のデフレ経済によって衰退してしまった。

伝統工芸品の振興に関する法律は、伝統工芸品を「伝統的な原材料・技法で、ある地域の職人が手作業によって製造する日常生活品」と定義づけている。日常生活品である以上は、観賞用の美術工芸品とは異なる。また、日常生活品と言っても毎日使用するものもあれば、正月や節句、家族の祝い事などイベントに使用するものもあり頻度は異なる。

もちろん、手作業ではなく工業的に生産された商品を否定するものではない。しかし、工業製品から美術工芸品までの幅広いゾーンのなかで、その中軸となる技術や精神は手作りの伝統工芸品にあるのである。工業製品もこの伝統工芸品の歴史の恩恵に立脚している

そう考えると、伝統工芸品は「その価値に見合った適正な価格が評価されて然るべき」であろう。また、値引き合戦が常態化している工業製品とは一線を画して保護されるべきなのである。さらに、江戸時代の鎖国のおかげで、完全に純和風というイメージが定着してしまった伝統工芸品の海外需要に見合ったローカライゼーションを考える必要があるのだと思う。