ちゃらんぽらんの日記

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未来のカタチ ー高速な乗り物ー

以前の「未来のカタチ」で書いたハイパーループ。時速1200km/hというとほぼ音速である。マッハ1=340 m/sなので1224 km/hになる。

音速を超える乗り物は以前からある。ジェット戦闘機もそうで、コンコルド旅客機もあった。コンコルドは巡航速度マッハ 2.04(約2,160km/h)で通常の旅客機の2倍の高度となる6万フィートを飛んだ。しかし商業的には大失敗で250機が採算ラインだったのに対して20機製造されただけで2003年に幕を閉じた。

客席が100席と少ない、コックピットに飛行機関士が必要、航続距離が7000kmと短く長距離就航には途中で給油が必要、など損益分岐点が異常に高い乗り物で採算が取りづらいなどの経済的要因が失敗の原因だが、物理的な制約も大きな障害だった。

それは「音の壁」である。マッハ2なのだから当然なのだが衝撃波が生じる。ソニックブーム」と呼ばれる衝撃波は地上に被害をもたらす。典型的な被害は隕石の落下のイメージで想像できる。

2013年に起きたロシアでの隕石落下は記憶に新しい。この隕石落下の映像はインターネットでもアップされた。爆発(分裂と発光)は地上から数十キロの高さで起きたが、その後の衝撃波が南北180 km、東西80 km に被害をもたらし、20万m2の窓ガラスが損壊したそうだ。人的被害もあり被害総額は30億円となった。

コンコルドが量産されて世界中の空を飛ぶようになると、このソニックブームがいたるところで発生するので、陸地の上空は音速を超えてはいけないと制限された。それでも海洋上のマッハ飛行によって洋上の旅客船ソニックブーム被害が発生したらしい。

実は身近な新幹線でも技術的な壁があった。「トンネル気圧微波」と呼ばれる現象である。トンネルの入口で空気が圧力で縮み壁のようになりトンネル出口で解放されてラッパのように騒音が発生する。この圧縮空気の波の大きさは、突入する物体の断面積の大きさとトンネル断面積の小ささ、そして速度に比例する。

トンネルが多い山陽新幹線や東北新幹線などの先頭車両の形状がカワセミに似るのは断面積を小さくする結果である。カワセミは空中から高速で水中にダイブし獲物の魚を捕獲する。これにヒントを得たのである。さらに、トンネル断面積は入口側と出口側の断面積が大きくなっている。

風切音も騒音の一種である。これにも自然界の動物の知恵が生かされている。フクロウは無音飛行ができる特質をもっている。羽の先端にノコギリ状の突起が無数にある。この突起が小さい無数の空気の渦を発生させ、結果として大きい渦の発生を抑制し風切音が出ない。新幹線に使うパンタグラフも側面にあえて複数の突起を設けることによって、パンタグラフが主原因となる風切音がドラスチックに低減した。

食べ物も医療も娯楽も満足いく文化的な水準に達しつつある現代文明で、唯一残された課題は「早く、安く、気に入った場所を訪れることができる移動手段」なのではないだろうか。これがあれば、国内や海外のお気に入りの場所に気軽に旅行できる。旅行というのは先進国社会の最後の楽しみのように思えるのである。

音速を超える技術はとっくの昔にできているが、関連する周辺の技術的課題といえるソニックブームや騒音被害などは今もJAXAを含めいくつかの世界の機関で研究されている。ハイパーループはチューブ内で、どのように空気圧を制御するかは分からないが、画期的な移動手段の登場が資本主義社会の最後のテーマのように思える

資本主義は今、何合目なのだろうか? それを考えるうちに、まだ移動手段の問題があるなと気になって、これを書きました。未来のカタチでは、次は「資本主義の次に来る未来」をどこかのタイミングで書こうと思っています。