ちゃらんぽらんの日記

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低く暮らす(5)

欧州では1950-70年代前半までの好景気でツーリズムが一気に成長しました。スペインでも30万人程度だった観光客が1960年には610万人と20倍に、1973年には3,450万人とさらに5.7倍に増えました。しかし、大型ホテルチェーンのリゾート施設や長期滞在アパートが乱立し、サービスの質も低下してしまい低迷期を迎えます。

2000年の欧州景観条約をきっかけにカタルーニャ自治州では「景観目録」を作成するという取り組みが行われました。これはカタルーニャ自治州の国土を綿密に調査し地域計画の基礎資料とするものです。画期的なのは住民参加型であることです。個人ひとりひとりに、電話・訪問・ウェブでアンケートを行い、個人や景観団体とのインタビュー・集団討論・意見交換・公開討論などを135に及ぶ景観単位で地道に行って、維持すべき景観を特定していきます。また、景観そのものは複数の行政区にまたがるものも多いのでその調整を行います。

すべてが「大多数が美しいと感じる景観ありき」なのです。そこには、行政の恣意性も大企業や有力者の声もありません。このような取り組みが欧州でフランスと双璧をなす観光大国に押し上げていきました。

ここで、日本人として考えるべきことは何かという問いに立ち戻ります。

1)人口減少社会で空き家が増える趨勢の中で建物高層化利用の追求は逆行する。低く暮らすことで高齢者にも優しい住環境が形成されると同時に、景観ありきの国土を再設計するチャンスとなる。その中で、中央集権的なインフラ維持ではなく地域分散・家庭帰属型のインフラを整備する。具体的にはエネルギーと上下水などを各家庭または小規模地区で賄えるインフラに切り替える。

2)景観法を再整備して、市町村の強制力はそのままに、景観づくりを国が市町村に義務付ける。景観に複数の市町村がまたがる場合は連帯義務とする。

3)強制力には、一定の要件を満たす場合はドイツ法制のように、建物の外観やデザインにまで踏み込めるような私権の制限を設ける

4)外国人観光客のうち急成長しているのは旧BRICsであり、英語・韓国語・中国語のほかにロシア語などの表記も国が自治体に義務付けて、外国人観光客のバリアを減らす

5)欧州にくらべて1.7倍と割高な外国人観光客の支出コストを10万円程度に抑制できるよう自治体・旅館ホテル・交通機関が連携してトータル・インセンティブを導出する。

6)最後に、自治体また景観連携自治体が競争して外国人観光客誘致を発信してプラスサムの地方創生となるようにする。

最低限、これだけやって初めて観光客8千万人・8兆円産業となるのだと思います。

以上