ちゃらんぽらんの日記

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再エネ賦課金報道のいい加減さ

数日前の再エネ賦課金に関するメディアの報道に呆れている。


前年の0.75円/KWhが1.58円/KWhになり、モデルケースで月225円が月474円になることを受けた報道。

曰く。

「再生エネ買い取り、負担抑える見直し急げ(産経)」
「2030年の電源構成(下)過大な省エネは国民負担(日経)」
「再生エネ”家計負担額が5月から倍増へ(日テレNEWS24)」

倍増になるのは事実では、あるものの、周辺を含めた正確な分析と説明をしようとしない行動癖がメディアの悪い癖である。耳目を集めるタイトルで誘導して放置している。スーパーの安売りチラシよりもたちが悪い。

まず、
1)再エネ賦課金が増えるのは再エネ発電量が増えて日本の電源構成の中でシェアが単純に上がってきたことに他ならない。つまり、脱原発を目指して歓迎すべきことであることを忘れてはならない。

2)本来はコストの高い再エネでも普及によってどんどんコストは下がっている。太陽光で言えば2012年は40円の買取価格が29円にまで27.5%も下がった。これは設備原価を反映しているので発電コストも同様に下がったことを意味している。これも歓迎すべきことである。

次には、再エネ賦課金が公正な計算なのかという観点では

3)買取費用という電力会社にとっての追加費用から、その分の電力を生産しなくて済んだ費用(回避可能額)を控除して事務管理費を加えている。

この意味合いは、「電力会社はすでに十分な発電設備を持っているので、(本来やりたくない)余計な買い取りをするのであれば、すべて消費者に転嫁しますよ。」ということが基本的な考え方になっているのである。迷惑料を消費者転嫁するような発想である

仮に電力会社が自前で再エネに熱心であれば電源構成が再エネ100%という極端なケースでは、買取費用と回避可能額が同額となりゼロ、あとは事務費だけとなる。1兆3千億円と言われている費用が事務費の3億円だけとなり、再エネ賦課金は3銭程度と無視できてしまう。


現在の再エネの電源構成に占める割合は3%程度と想定される。そうすると、高い電気料金の犯人は別にあって矛先は真犯人へと向かうのが妥当である。


4)電源構成で1位はLNG液化天然ガス)であり43%を占めている。次に石炭30%、3番目に原油が15%である。天然ガスは効率も良く、機動的につけたり消したりできるので不安定な再エネの需給調整にも使われている。このうち、石炭と原油は市況連動商品なのだが、天然ガスはちょっと事情が違う。

何が違うかと言えば国によって価格が異なる。米国では自国で生産しシェールガス革命騒ぎもあって低価格であり、過去5年間で概ね4ドル程度。欧州はそれよりもかなり高いがロシアなどからうまく交渉し10ドル前後。日本は最近は17ドル前後と最も高い。液化する費用や輸送コストなどが上乗せされるのだが、それでも少なくとも欧州並みにはできるはず。

日本は豪州・カタール・マレーシア・インドネシアなどから輸入しているが、この契約交渉に問題がある。特に、東日本大震災以降は2010年の9.4ドルから2011年に15.6ドルと一気に上昇し、その後逓増している。要因は交渉イニシアチブが取れないことである。契約が下手でまとめ買いができない・頼りの商社が消費者の味方ではなく実は供給側・電源が多様化されていないので交渉で駆け引きができずに足元を見られる、などが原因である。商社が供給側というのも別の問題があると思っているのだが、総合商社は今期エネルギー関連で大損し、合計で1兆円の損失を計上したのでここはそっとしておこう。

5)電力料金を下げるには2つしかない。ひとつは、LNG価格の構造的問題に対策を打つこともうひとつは、再エネを加速させることである。もっとコストダウンを加速させる。電力需給の調整は大規模エネルギー貯蔵技術を国をあげて開発する。個人的には太陽熱を集光して大規模な熱エネルギー貯蔵を地下で行うのが良いと思っている。需給調整にはこれが最も効率的である。


以上を考えれば、もともと電力会社が怠慢なのである。本来は、再エネ賦課金などという1兆3千億円にのぼる我儘を許してはいけない。さらに言えば、原発事故の弁償費用を原子力損害賠償支援機構を通して5兆3千億円、除染費用は2兆5千億円、合計で7兆8千億円も国が税金で負担しているのである。締めて9兆1千億円、国民に返して頂戴。そうでなければ電力会社の業種分類は公益セクターではなく公害セクターになってしまう。



そのようなコンテクスト(文脈)から言えば、

「再生エネ買い取り、天然ガス負担抑え普及を急げ」
「2030年の電源構成(下)過大な天然ガスは国民負担」
「再生エネ5月倍増”家計負担額は勝利の証し”」

となるはずである。何か、戦時中のスローガン見たい(汗)。^_^

【補足】
ちなみに、足元エネルギー市況は暴落しています。2013年平均価格からは天然ガス▲6%、石炭▲12%、石油▲47%。これを反映させれば、私の試算では電気料金は電灯料金で2014年料金25.91円/KWhが20.85円/KWh2割下がる筈!!。

よく覚えておきましょう。本来は電気料金は市況価格を反映して2割下がる筈
そうならなければ、電気料金の構造的問題に一刻も早くメスを入れるべきです。