ちゃらんぽらんの日記

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流動性について

流動性とは「換金しやすさ」と言える。金券もパチンコの玉も換金しやすいし、子供のお手伝い券もお手伝いが実行されれば、親が買い取ってくれるので流動性は高い。有価証券の世界であれば、上場株式も国債投資信託も売却して換金しようと思えば、毎営業日売って換金(資金回収)できる。それが普及すること自体に罪はないのだが、換金しやすさが逆に仇になることもある。

二つ顕著な例がある。ひとつは上場株式のボラティリティだ。株価や収益率の標準偏差で表現するのが通例だが、変動幅の大きさと考えて差し支えない。安く買って高く売れれば利益の機会でもあるが、高値づかみをして安値で投げ売りする可能性もあるので損失の機会でもある。社会全体では運用上手な人ばかりではないので、社会的なリスクは高まると言えるだろう。流動性が高いことの弊害は、「いつでも売れるからいいや!」と事前の熟考をせずに安易な投資に走ってしまうことだ。このような市場心理が支配的に勢力を増した場合は、バブルやその反動の暴落を引き起こす犯人だ。
実質の経済成長率が高く株式投資に期待できる平均的な収益率が高い右肩上がり経済ならば、多少ボラティリティが高い市場も許されるだろう。しかし人口オーナス期を迎えた潜在成長率マイナス期には、平均的収益率マイナス、ボラティリティのみ高くなり、投資価値のある市場とは言えない。取引所は流動性こそ命とばかりに合併や買収による規模の拡大に走り、機関投資家も安易に流動性に走るが、片手落ちの論理に気づくべきだろう。

もうひとつは、PE投資やVC投資・インフラ投資などの非流動的投資である。確定給付型年金は多かれ少なかれどの国も世代間扶養の要素が入る。将来成長し国や地方の牽引役を担う企業を育てるために、これらのPE投資やインフラ投資は欠かせない。将来のために種を蒔くことが必要だ。これらの投資はファンドの存続期間が10年間やインフラ投資の場合は20年間など長くなる。その間、投資家は原則として換金できない。上場株式への投資と異なり、投資資金は実際に工場や機械設備、高速道路や発電所などになっているので、一部を売却し換金する事などできない。これらに投資する際には内容を理解できる知識と長期で投資資金を固定できるという二つの条件が必要だ。そのため国内外のPE投資業界は年金資金などの長期投資家層を期待している。しかし、日本の機関投資家層は、異口同音に「流動性が低いので投資できない」と言う。銀行も保険会社も年金基金もある日突然、すべての顧客が解約に殺到する取付け騒ぎのような事態など想定していない。従って、ポートフォリオの3割は流動性の高い投資で、それ以外は長期投資とと割り切る事もできる筈である。しかし、結局は上役への稟議やら責任問題などの自己保身リスクが流動性リスクの言葉に置き換わる。

かくして、流動性を求める日本の投資家と関係者によって、日本の資本市場は投資魅力がなく、産業育成の社会的使命も果たせない、堕落した市場となって行くのである。